一か月で十五本の映画を観ようと決めてから今月で一年が経った。
同時に一か月に四冊の物語を読んでいる。
「だでなに」と問われたら困るに違いない。
人の気持ちを理解したいと思ってはじめたことだけれど、
奏功はしていないからである。
運動も頭脳を動かすためには必要なので、
週に二回の空道の定時稽古、
週末十キロのロードワークも続けている。
戌年生まれだから毎日歩いている。
「なんの役に立つの」と功利主義を信じるひとたちから
「けっ」と言われている。
たぶん、何かの役に立つからしているのではなくて、
時間があるからしているのだろうと今考えている。
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1「ディア・ファミリー」(2024年、監督月川翔)
町工場の経営者が、心臓疾患を抱える次女のために知識も経験もないのに自ら人工心臓を作ろうと決意する。
2「ラストマイル」(2024年、監督塚原あゆ子)
巨大ショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が頻発し、配送センター長が事件解決に奔走する。
3「陽のあたる教室」(1995年、監督スティーブン・ヘレク)
作曲をするために時間がとれると思って教師になったのに生徒のために時間を削られ、音楽に人生を捧げてきたのに、生まれてきた息子は耳が聞こえなかった。
4「ゴッドファーザーPART2」(1974年、監督フランシス・フォード・コッポラ)
亡くなった父の後を継いでボスになったマイケルは、ファミリーを大きくしていくことに成功はするが、兄に裏切られ、妻から離婚を言い渡される。
5「ルックバック」(2024年、監督押山清隆)
小学校内の新聞で連載する4コマ漫画で校内で高い評価を得る藤野は、ライバルの京本と共同執筆をして中学生デビューを果たすが、京本は絵がもっとうまくなりたいと地元の美大へ進学し二人は分かれ道を行く。
6「4月になれば彼女は」(2024年、監督山田智和)
結婚の準備を進めていた精神科医の男のもとから、婚約者が姿を消してしまった。愛することをサボると冷えていく。人の心を扱う仕事をしているのに、身近な人の気持ちがわからない。
7「83歳のやさしいスパイ」(2021年、監督マイテ・アルベルディ)
妻を亡くした83歳の男性が探偵事務所の求人に応募する。仕事は老人ホームの内偵調査である。依頼人はホームに入居している母が虐待されているのではないかと訴えている。
8「コーヒーはホワイトで」(2024年、監督・岡山一尋)
喫茶店モアで働くモナコはメイドの格好をしているけれど、裏の顔はアルバイト探偵である。
9「若い東京の屋根の下」(1963年、監督斎藤武市)
会社に勤める十九歳の蕗子は、自転車で坂道を下る途中でぶつかった大学生の男の態度が悪いのでむかつく。その後、男が自宅に下宿することになって、いさかいの毎日が始まる。
10「響(HIBIKi)」(2018年、監督月川翔)
文芸誌「木蓮」の女性編集者は新人賞に応募された手書きの原稿を傑作だとみぬいて、作者の響に会いにいく。響きは暴力的な少女だった。
11「ドレミファ娘の血は騒ぐ」(1985年、監督黒沢清)
高校時代に交際し、結婚まで考えた男を追いかけて田舎から出てきた女性は、彼の大学の学生でもないのに心理学ゼミに立ち入り、教授から「恥ずかしい実験」の被験者にされてしまう。
12「ジョン・ウィック」(2014年、監督チャド・スタエルスキ)
ジョン・ウィックは殺し屋だったけれど、女性を好きになってから足を洗った。マフィアに女性からもらった愛犬を殺されたジョンは、復讐をはじめる。
13「少年たちの時代革命」(2021年、監督レックス・レン、ラム・サム)
革命デモに参加して仲間を守って逮捕されたあと、自殺を決意した少女を仲間たちが思いとどまらせようとする。
14「ブラックドッグ」(監督グァン・フー)
これは劇場で観た。友人を事故で死なせた男は刑務所から仮出所し、ゴビ砂漠の故郷へ帰ってきたが、途中で乗っていたバスが野犬の群れを避けようとして横転する。故郷の町は人口流出が激しく、飼い犬が野犬になって増えていた。
15「ひとくず」(2019年、監督上西雄大)
母親の恋人から虐待される六歳の女児が軟禁されているところへ、空き巣狙いの男が侵入する。女児は飢えていた。男も幼いころから継父に虐待されていたから女児を放っておけない。
では小説。
1「記憶」(西谷史著)
インカ帝国の研究をするうち、女子学生は自分の出自に気づく。
2「はぐれ鴉」(赤神諒著)
14年前に目の前で一族二十四人を皆殺しにされた男が、江戸で高い評価を得た剣術でふるさとへ戻ってくる。出会った美しい剣術使いの女性は仇の娘だった。
3「太陽がいっぱい」(パトリシア・ハイスミス)
以前観た映画とは違う結末だった。
4アレグリアとは仕事はできない」(津村記久子著)
正常に動かない複合機に恨みを募らせた女性会社員がその原因を突き止める。
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昨日はロードワークの最中に転んだ。年々転ぶことが多くなってくる。
受け身を取ることができるのは稽古の効能だけれど、
皮膚は鍛えられず、切り傷が増えていく。
静岡西道場でやっている空道の稽古は、
一年を通せば繰り返しにみえる。
空道はパンチ、蹴り、肘うち、膝蹴り、頭突き、
投げ、寝技……と技術がたくさんあるので、
一週間をとおしてみるとあまり繰り返しには思えないかもしれない。
何でもいいから十年は続けてみようと思ってきた。
今もその考えは変わっていない。
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