母校で稽古をする

 テレビ番組「クレイジージャーニー」を観る。

 学生時代から今にいたるまでかっこいいキックボクサー・立嶋篤史選手が

主人公である。元全日本フェザー級のチャンピオン。

 100戦目の試合に向けて減量中で、10kgを落とすという。

 51歳の立嶋篤史は毎日自身のジムで練習をし、一日20kmを走る。

 離婚後、二人で暮らしてきた長男はキックでプロデビューも果たしたが、

意見の合わないことがあって家を出ていったという。


 常識的な意見はいつも、奮戦するひとを止めるだろう。

 あなたのためだと思いやる言葉は、

実際には意気をくじくのだ。

 年齢を、立場を、周りの人のことを考えよとか、

どうせできやしないおまえごときにとか、

もう運なんて使い果たしてしまったくせに、

そんなに意固地だからみんな離れていくのだ、などと忠告しながら

可能性の芽を摘む。


 一人で過酷な練習に取りくんで戦いに挑む立嶋篤史に、

誰もが抱くだろう疑問〈なぜまだリングに立ち続けるの〉に対し、

立嶋篤史は小声で答える。

「がんばりたいんだから、がんばらせてよ」


 命を燃やしたいのだ。痛いことなんてたくさん知っている。

 けれど心を傷つけられるより、体が傷つくほうがかなりましである。

 心が傷ついたら、好きではない方向へ矯められたら、

どうやって治すことができるのだろう。


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 土曜は空道・早稲田の日。金曜夜、静岡西の定時稽古をし、

翌朝上京した。

 大道塾は早稲田大学に準支部がある。

 自分も在籍し、第4期の主将を務めた。

 19歳の現役生から50代のOBがいっしょに稽古をする。

 稽古が終わるともう力が残っていなかった。

 初代塾長、東孝先生の墓参りをしたり、東京観光をしたり、喫茶店に入ったりして過ごす。

 夜は宴会。

 みんなとてつもない努力をしていることを知る。

 からだは強固で、心やさしい先輩と後輩といっしょにすごした、

夢のような

たのしいじかんだった。


 ぼくはなんどもいいたいことがある。

 きみは、このあとなんさいになっても、

なりたい人になれるのだ。すばらしく、しあわせになれるのだ。

 ぼくは鏡を見るたびに、写真を見るたびに

年を取っていることを思い知らされている。

 若いひと、活躍しているひとのじゃまをしようなんてまったく思っていない。

生きる場所がちがうといわれるし、わきまえている。

 でもきみの可能性を信じている。

 かげで旗を振って応援しながら、

ぼくもきみみたいに、毎日ちょっとだけでも努力をしたいと思う。

 今日もだめな日をすごしたけれど、

こんなぼくでもまだ、がんばりたいだに。


(社)全日本空道連盟 大道塾静岡西道場

(社)全日本空道連盟 大道塾静岡西道場は静岡駅近くで稽古をしています。 空道は総合格闘技であり、礼節を重んじる武道です。 責任者・門井研は、大学入学から現在まで35年のキャリアがあります。 静岡県空道協会と静岡市空道協会に所属。 空道は、2026年青森県国民スポーツ大会のデモ競技となりました。

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