僕がよく知っている男から夜十時過ぎにメールが来て、
朝からお菓子を持ち歩いているのだがどうしよう、どう思う、と
尋ねてくる。
彼は一か月も前に、贈り物を百貨店で買ってきたのだが、
どうにも渡すような機会を見つけられずに、
ずっと持ち歩いているのだと言った。
「だってお前があげるものなんだから、
まようことなどないだろう、相手はただでもらうんだ」と言ってやると、
彼は反論した。
「そうかんたんにものごとは、俺のまわりでは運ばないのだ。
もらった相手は迷惑だと感じるかもしれないから」
「それって危険物なのか、薬品とか、爆弾とか」
「いや詰まっているのは俺の、まごころだ」
それを聞いて噴きだしてしまう。真剣に言っているからなおのことおかしい。
たしかに、彼の言うとおり、彼のことを遠ざけたい人たちにとって、
まごころなどは煩わしいだけのしろものだろう。
結局彼は、人にあげようと考えていた土産を、さんざん持ち歩いた挙げ句
家に持ち帰ったようだ。
その商品を運ぶ予定だったきれいな手提げ袋は、
かばんのなかで傷がついて、
彼が上品だと思って買った外箱は角がへこんでいた。
彼が見せてくれたとき、なんともいえない気持ちになった。
けれど幾度も頭の中を経巡ってきた先の、
先端の上に立っている彼には今日一日の責任がある。
これからだってなにもかもが彼に敵対するかもしれないけれど、
味方はいるのだ。それは僕だと、本人には言わないが、密かに思っている。
+++++
一昨日土曜日は、我らが師、東孝先生の三回忌で
東京・雑司ヶ谷へ行ってきました。
その後、全日本空道連盟の幹部、支部長と会食で池袋へ。
二か月に一度くらいお会いしているので、
まるで近所に住んでいるみたいでした。
同期の精鋭をみかけて、語り合いたかったのだけれど、
ちょっと挨拶を交わしただけでした。
彼は中量級の全日本チャンピオンだったし、
いろいろな格闘技にも挑戦してきた。DVDでも姿をみてきた。
でも彼はそうしたことを鼻にかけたことはなかった。とてもいい男なのだ。
いまでもお互いに宴会芸の達人として一目置いている、……んだと思う。
今日月曜は、静岡西の定時稽古。
桜の木の下で写真を。
2023年4月3日から、静岡西同好会の稽古は
毎週月曜、金曜の19時〜21時に変わります。
稽古では、強い当て身をしたりしません。
小学5年生から、50代までみんなで空道を楽しんでいます。
とにかくディフェンスができるように、
そして打撃だけ、あるいは投げ技だけ、もしくは寝技だけに頼らないで
動けるように考えています。
すべての点で、総合的に動けるようになります。
ストレス発散はとくい。
ミットを打って、パンチをよけて、相手を地面に転がして。
春になります。
0コメント