ぼくは君のみかた

 先輩はいつもなにに悩んでいるのですか、

ときかれてうむむむむとうなってしまう。


 人間は本当にひとりひとり違って生まれて育ってきており

かけがえがないと思うのです。

 その証拠に、いつも違うところを探そうとしている。

 だからそのうちの一人が悩むなら、

一人のためにぼくはかけつけたい。

 でも肝心の合図がつかみにくいので悩むのです、と答える。


 合図を伝えたり、あるいは理解したりすることは

とてもむずかしいです。

 大勢のひとがにこにこしているところでは、

いじる側や、傍観側が楽しそうに演じる。

 面白いせりふをいえと強要し、いえなければあらあ、どうしたのと

気にしてるふりでけなす。

 有力なひとが、弱いひとに皮肉を言ったりあてこするのは、つまらない。

 威張ったり威圧するということがどれほど卑怯なことなのかわからないのだろう。

 感動したのでない涙が流れてしまう。

 私刑のようなものは見世物にしてもつまらないし、

ゆるされもしないと考えている当人が、

現実には気持ちがいいからと実行してしまい、

あとでつじつま合わせをして続けている。

 自責の念が、他人と自身を傷つけていく。


 そんなひとから逃げてきたひとを、ぼくはかくまいたい。

 すり抜けようとする手を、もし合図に気づいてつかむことができたら、

声をかけられないかもしれないが声をかけないとそれでは変態のようである。


 感極まったり話せないなら、

ぼくの体を、太鼓打ちしてくれていいんだけど。

 大太鼓に、両手で握ったばちを振り下ろすように

ばかばかばかと、たたいてくれていいんだけれど。

 ぼくの、ごりらのようなむねをおなかをせなかを。

 きみが背中を向けて座ったら、背中越しに話しはじめてほしい。

 理不尽なできごととか、つじつまのあわないこととか、かなしいことや、つらいこととか。

 そして、鈍感なひとについての、小言とか。

 ただぼくは聞くだけの役立たずだって、

あとで不満に思うかもしれない。

 ただ、聞いた言葉はすべてのみこんで墓場へもっていく教育をうけたので、

言うだけ言ってうっぷんばらしになったらいいと思っています。

 意見や説教なんていらんだにって思った経験が、ぼくも、いくどもあるから。


 開いているドアをたたいてほしい。

 たてつけが悪いかもしれませんが、強く押せば必ず開きます。

 10kmくらいはけがをしたひとを背負って歩いていける。

 緊急時なら、走っていく。そのために訓練をしています。

 一時的にうまく笑顔をつくれないきみのために。

 きみがまた、すばらしいはじけるような笑顔をみせてくれるときを願って。

(社)全日本空道連盟 大道塾静岡西道場

(社)全日本空道連盟 大道塾静岡西道場は静岡駅近くで稽古をしています。 空道は総合格闘技であり、礼節を重んじる武道です。 責任者・門井研は、大学入学から現在まで35年のキャリアがあります。 静岡県空道協会と静岡市空道協会に所属。 空道は、2026年青森県国民スポーツ大会のデモ競技となりました。

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