一人暮らしの時間は一部、というか
はんぶんくらい空想で埋められる。
他人の作った空想をたのしむこともあれば、
じぶんの過去を思いだして笑うこともある。
「K体掌説(九星鳴著)」を読む。
とても有名な作者が、別のペンネームを使って書いた
短い話がたくさん集められている。
そのうちの一つ、「あのひと」。
訪問者から消息を尋ねられたひととは懇意にしていたのだが、
あるときから会っていないんだと彼は話す。
長い間会っていないからきっと、見た目は変わっているのではないかと
彼は危惧するのだ。
昔は好きだったし、胸が締めつけられることもあると言う。
けれどどうして彼女に裏切られたのか、彼はわからないと頭を振る。
そして告白をする。
追憶はどんどんわいてくる。
いつだったか、金魚園へ弟家族といっしょに遊びに行った際、
七十代とおぼしき女性が弟に近づいてきて、
天気の話から始まって、金魚の選びかたを尋ねたりしていた。
弟は人見知りをしない男なので、ひとしきり話しこんでいた。
となりにいた僕へ、ついに話が飛び火した。
「ところで、あなたがたは親子?」
父親のほうだと断定された弟は「もう、もう、もう」と
笑いながらくやしがっていた。
思いだしては笑いながら、弟は今どうしているだろうかと
思いをはせる。毎年会ってきたのに、二年会っていないのだ。
結婚して関東に住んでいる彼は、二人の子どもに恵まれて、
すてきな奥様と楽しく暮らしている。
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昨日月曜の稽古は3人で、
基本(パンチとけりをかっこいいフォームですぶり)、
パンチに対する防御(お手てで防ぐ、にくたいを沈ませて防ぐなど)、
蹴りに対する防御(あんよをあげてふせぐ)、
約束組み手(相手のパンチやけりに対してぶあって投げるまで)、
マス・スパー(きままにぼかすか叩いて、ぐちゃっとする)。
あなたは今日もがんばった。
もえながらほほえむあなたはうつくしい。
ぼくはごしゅじんのちかくでふせているけもの。
あなたのこころの、せんぞくようじんぼうになりたいのです。
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