「妻への家路」を観る。
2014年に製作された中国の映画である。
文化大革命の時代に、反政府分子として告発された男が逃亡した。
追っ手は妻子のところへ手を伸ばし、
「夫から連絡があったら通報するように」と命令される。
娘はバレエをしており、
主役級の技術と表現力を持っていると監督もスタッフも買うのだけれど、
逃亡犯の娘だからという理由で一兵卒の役に甘んじるしかない。
娘はだからあまり父のことは恋しくなかった。
一方、彼の妻はずっと彼を待ち焦がれていた。
「五日に帰る」という手紙を手に待つ。
けれど待てど暮らせど会えない。
革命時代が終わった。
政治犯が罪を問われないことになって帰ってきたのに、
妻は彼のことがわからない。
近所のおじさんだと思いこんで、家に入るのを拒むのだ。
医師は記憶障害だと断じたのだった。
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木曜の稽古は2人で。
この2時間、旧幼稚園舎には
誰もおらず、大きな気合いを入れても近所迷惑にならんだに、
ぎゃあぎゃあと笑い声だけが自分にも響いてくる。
ぼくはとても凡庸な人間だけれど、
駅の階段を下りているときの男子同士の密着さかげんや、
思わず目があったひとのあたたかいまなざしにうまく笑顔をかえせただろうかとか、
女王蜂のようにへんてこりんをぼくの前頭葉に産みつけようとした母、
父という鬼才がすてきな笑顔を見せてくれたのにしおらせてしまったこと、
たくさんの情景に支えられて生きている気がします。
言い換えると、日々ぼくは懊悩の中に生きている気がする。
ぼくが願うのは、
みんながみんな、望む人物になれますように、
ということです。
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