静岡市で今日の定時稽古を行って、新幹線に乗って浜松市へ帰る。
JR浜松駅のホームに着いて新幹線を降りると、
ひと組の男女が目に付いた。
降車する人が動き、乗車する人がそのあとに動くのに、
列に並んでおらず、じっと立っているので目を惹かれたのだ。
女性の頭髪はピンクに見えた。さらに着ている服もピンクであり、
アニメのヒロインのようだと感じる。
彼女は降車したぼくには背を向けており、
顔つきはわからない。
一方、男性のほうはこちらを向いているのでよく見えた。
男性も、向かい合った女性と同じ二十代に見えた。
彼は目を閉じていた。けれども身体は女性のほうにまっすぐ向けていた。盲人だと直感する。彼はとても痩せていた。
彼の言葉の端々が聞こえてきた。
「僕はジョーの後ろ姿が印象的でさ、だって拳銃を向けられているのに、ゆったりと背を向けて出ていっただに」
彼はとてもうれしそうに、おそらく先ほど二人で見てきた映画の感想を話す。
彼女は、自分よりも少し背の低い彼に向かって、
わざわざ膝を折って上目遣いになっていた。
「私があなたのことで気に入っているのは」彼女の手からクマのぬいぐるみが落ちた。「こころなのであって、あなたが気にしているような外見のことじゃないから」
新幹線の発車を知らせる音が鳴り、アナウンスが乗車を急かしても、
新幹線がいってしまったあとも、二人は最前と同じ距離で向かい合っていた。
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今日の稽古は6人で。
楽しい稽古を、ぜんりょくで続けたいと思っています。
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