空道であれば3分間の試合を、
ただひたすら自分の体を、理想としてきた動きにあわせて
動かそうと奮闘して、
主審から〈それまで〉の声がかかるまで
無我夢中で殴ったり蹴ったり投げたり、
首を絞めたり腕の関節を極めようとする。
毎日、少なくとも毎週、一歩譲って毎月、もっと下がって毎年、
反復していくのは、
自分のスタイルを作るためなのだ。
身の回りで待っている「僥倖」なんてものには
決して近寄ってはいけない。
○○通りでスカウトされてタレントになったとか、
そんな安易な道を歩くなんて危険極まりない。
芸能事務所の役員が、私を気に入ってくれたと思ったりして、
貴重な未来を奪われてはいけない。
僕は地味な事務作業員を28年も続けているが、
たとえ昼間は虚仮にされ通しでも、
自分の人生自体がくだらないと思ったことは一度もない。
夜は空道の道場で、仲間とともに汗を流す貴重な体験を
しているからである。
会社や学校だけが、僕たちが楽しめる場所ではないのだ。
〈それまで〉の声がかかるまで、
自分の性格の悪さに悩んでいたって、
人に優しくなろうと努力をしつづけたい。
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