傑物の証左

　あなたが、野鴨を拾ってきて芸を仕込んでいるだとか、

寝袋の中でできる新しい盤上対戦ゲームを開発しているのに

「時代遅れ」と水を差されたことだとか、

すべてはぼくもまねしたいくらい卓抜したことだと思うんです。

　あなたが好きな食べ物とか、アルコール飲料とか、

ためらった挙げ句にした決断とか、

ちょっとした仕草をみて好きになってしまった子とか、

すべてが個性的だと思うんです。

　だから、悩んでいるかもしれないと妄想するだけで

三日くらいお酒も飲まず何も食べなくてもよくなってしまいます。

　二キロくらい落ちた四日目の夜、突然晩酌を再開すると

健康的な、ぽっちゃり体型に戻ります。

　開発した精進料理を食べます。

　ブラジリアン柔術の、グレイシー・バッハ道場ではいつもみんなぼくをかまってくれる。

　ただスパーリングをしているだけ、という感じもするけれど。

　空道の、大道塾道場でもみんな楽しく2時間たっぷり稽古する。

　顔を伏せて歩いた後、

いやなものも見えなかったかもしれないけれど、

すばらしいものもみえなかったかもしれないと思う。

　これからですよあなたのすばらしい世界がはじまるのは。