ぼくは記憶のある小学二年生くらいから始まる少年時代、
祖父母、伯父伯母とその子どもたち二人、
そして我が母と弟と暮らしていた。
母は朝から夜遅くまで仕事で外にいるので、
顔を合わせるのは朝くらい。
必然的に、礼儀作法などは祖母から教えてもらうことになった。
朝起きて、何も言わずにいると祖母から
「あれ、知らん子どもが入ってきた。どこから来たの」と言われる。
おはよう、くらいはちゃんと言いなさいとしつけられた。
悪かったと≪自分が思ったら≫謝ること(実際にどうかはいいのです)、
買い物する時も、飲食する時も、客だからとお金を払う時に偉そうにしないで、
ありがとうと言うこと(買わされていはしない、自ら求めているのです)。
とにかく斜に構えないで、すねないで、素直に生きることを、
ぼくは周りの人から教えていただいた。
年長者から愛されて生きてきたと感じている。
けれど今、素直に生きているかどうかは、自信がない。
母は引っ越しが好きなので、
市内をあちこち連れて行ってくれた。
そのひとつ、市街地に建つマンションには
今でもたくさんの人たちが住んでいる。
かなり広かったように思う。
マルチーズを飼っていたことを覚えている。
名前は「ダンナチャン」だった。
当時夫のいなかった母は、犬に「旦那」という名前をつけるという
茶目っ気のある人。
今の父と知り合ったのは、
ぼくが大学生になってからのことである。
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一歩外へ出たとたん、とても寒いので今日はもう走るのを
やめようか、と思ったのをすぐに翻意して
紅葉の中を10km走る。
浜松城公園で赤く色づいた葉をつけた木々を見ていると、
知らず深呼吸していた。
ぼくも心優しき素晴らしい人と同じような風景を見ていると思うと、
しっかりしたひとに、これから成長していきたいと気を引き締める。
可能な限り、ひとに親切でいたい。
できれば、楽しいひとになりたい。
できる限り、やさしいひとでいたい。
買ってきた芋は、二本ずつくっついていた。
芋焼き器に入らないほどの大きさで、うれしくなる。
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