「今は、先人の真似をしていってください。
そのうちにきみ自身の独創的なスタイルができるから」と
言われて、
その通りにやっているつもりなのに、
自分のオリジナリティなんて全然発揮する気持ちはなくて、
あの時代、世を席巻した大先輩の真似をしたいのに、
フック、フック、ダッキング、フロントスープレックス! と思うのに、
——完全に複写できないことを思い知る。
かの大先輩だけがオリジナルなので、
僕がその代わりになることなどできなかったのだ。
もし、あこがれの、かのアルミの鋳型があったら、
僕はどろどろに融解した状態になる釜に
流しこんでもらって、
誰にも迷惑をかけない、
ひとに嫌われないような素直なこころを、生まれた時の僕自身から奪い返して、
つまらない人間にならないように注意して、
そうして、
とてもすばらしい人が窮地に陥った時のテレパシーを受け取れるようになって、
その人にまったく気づかれずに
さっそうと駆けつける騎士になって。
そのために日々修練する。
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