2020年静岡西の稽古は12/21(月)、12/24(木)まで

 これまで何度も見知らぬ人々に

命を助けられてきた。


 静岡市に住んでいたときである。

 駒形通という、市内の中心部にある片側一車線の道で

ロードバイクに乗って、

クリーニングの衣類を左ハンドルにかけていた。

 急に視界が反転した。

 首投げで投げられる感覚に似ていた。

 クリーニングの袋が車輪にからまったのである。

 体が前方に一回転してアスファルトの路上にぶつかる。


 倒れているところへ、

男性二人の声が続けざまに聞こえてきた。

「大丈夫ですか」「怪我は」

 スーツ姿の男性と、学ラン姿の男子だった。

 大丈夫ですありがとうございます、とそれだけ言えて、

元気な姿を見せたくてロードバイクにまたがった。

 幸いロードバイクは壊れていなかった。

 頭部に怪我はなかったが、

肋骨三本を折り、鎖骨にひびが入り全治一か月の重傷だった。

 その日の夜、痛みのためではなく、

彼らの優しさのために震えていたことを、

十年経った今も覚えている。


 今日は14kmラン。佐鳴湖の北部まで行って、

浜松駅近くまで帰ってきたときに、

前述したことをなぜか、思いだしていた。


 寒いのと脚が痛いのとで信号待ちして休んでいると、

人の気配がする。

 記憶に浸っていたので、

ああまた僕は「がんばれ」と言ってもらえるんだ、

でも、僕は大丈夫です、と言おうと思った。

 すると

「すみません、浜松駅はどっちですか」と尋ねられる。

 ランニングしているとよく道を聞かれる。

地元の人だと思われるからだろうか。

 イヤホンをとって顔を上げると、

外国の人のような容貌だった。マスクをしているので目だけ見えている。

 斜めを腕で指し示し「浜松駅はこっちなんですけど」

もちろん斜めに道が走っていないので

「まっすぐ行って、イスケルダ(左)です」と伝えた。

「ありがとう」という返事があって、そのひとは道を引き返した。


 いつも誰かの役に立ちたいと思っているくせに、

いざ道案内をする場面でさえも、ぎこちない。

 笑顔を浮かべることもできず、汗を拭くこともできない。

 あのひとは、もう一人のひとと一緒に無事、

駅へたどり着いただろうか。

 僕が、誰かに恩返しをする機会は訪れるだろうか、

そもそもその機会に気づいて、生かすことが

僕はできるだろうか。

 あのサラリーマンと、高校生のような人になりたいだに、

どうやったらなれるのだろう。

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 2020年、静岡西の稽古は残すところあと二回。

 12/21(月)、12/24(木)、18:30〜20:30です。

 楽しい稽古を。

(社)全日本空道連盟 大道塾静岡西道場

(社)全日本空道連盟 大道塾静岡西道場は静岡駅近くで稽古をしています。 空道は総合格闘技であり、礼節を重んじる武道です。 責任者・門井研は、大学入学から現在まで35年のキャリアがあります。 静岡県空道協会と静岡市空道協会に所属。 空道は、2026年青森県国民スポーツ大会のデモ競技となりました。

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