ほとんどかかってこない僕の電話が鳴るとき、
いつも聞く覚悟をしている。
 親族の誰かがなくなったのだと。
 夜は悪夢ばかり見るので、
眠っている間に、
心臓も鍛えられているのだと考えることにしている。
 けれどすべてはたわいのない用件である。
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 つらくながい人生の旅路なのにどうして、
今日もロードワークにでるのだろう。
 10kmを54分で走る。1kmあたり5分27秒のペースは、重い体を引きずって呼吸困難になりながらやっと終えたものだ。
 だれかがなにかにのみ込まれそうなとき、
動けない体や、よりそえない心では
支えられないと思うのだ。
 少しいやすことができたらいいのに、と
考えているけれど、
いちばん情けないので、地面に字を書く。
 それからまた立って、
家に帰る。
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