今日、稽古を始めて三十五分後に
治療中の後輩が「いらっしゃいました」というので
出口のほうを見たのですが
誰もいないのです。
彼自身はさして怖がっていないものの、
膝の治療中ゆえにさっと動けないだけなのかもしれないと
思いました。
入ってきたのはスズメバチでした。
十分ほど稽古を中断して、
四人で天井すれすれを飛び回るハチを警戒していたのですが、
後輩が二人して、おそるべき動体視力でもって
ハチをタオルを振り回した風圧で床に落としました。
「逃がしてやりたい」と彼は言って、
別の後輩がビニル袋を出してくれる。
そこへ動けずにいたはずのハチを入れて窓を開けると
ハチは息を吹き返して飛んでいきました。
心優しい後輩たちみんなのことを思ってうれしくなる。
週末はいつものように走り回る。
ぼくの手のひらにはなにもなくて、
頭の中を覗こうとしてもまっくらで、
心のうちも見通せない。
けれど、周りを明るくする、のはもちろんのことだけど
何百キロメートル先も照らしだすような光量の
でもだれも、やけどしないような笑顔に触発されると、
ぼくだってこれからまだ、がんばりたいのだと思う。
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